Japan Tea Action
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2022-01-18

消費者が審査! 日本一美味しいお茶を決める「日本茶AWARD」

 お茶にはたくさんの種類があることをご存知でしょうか。実は、日本茶は産地や品種、加工方法などの違いから100種類以上あるともいわれています(詳しくは「お茶の種類」ページで紹介しています)。旨みが強いお茶、香りが良いお茶、渋みが強いお茶……などそれぞれに魅力があるのです。

 そんな個性あふれる日本茶の中から、飲んで一番美味しいと思う日本茶を決めるのが「日本茶AWARD」です。2021年で開催7回目を迎える「日本茶AWARD」は、なんと私たち消費者も審査に参加できる品評会。お茶業界に限らず、消費者や、多分野の専門家の視点も取り入れた新しい審査方法で、新しい日本茶の価値を生み出しています。

 日本茶は1種類じゃない! 多種多様なお茶の美味しさを消費者に伝える「日本茶AWARD」について、主催者であるNPO法人日本茶インストラクター協会の奥村さんにお話をお伺いしました。

奥村 静二

プロフィール:奥村静二(おくむら せいじ) /NPO法人日本茶インストラクター協会専務理事
立ち上げ当初から「日本茶アワード」に携わり、日本茶の更なる普及活動の推進を行うことに尽力する。

消費者が「飲んで」美味しい日本茶を決める、新しい形の品評会

―― 「日本茶AWARD」とは、どのような取り組みか教えてください。

 従来のお茶の品評会は、まずはお茶が綺麗に作られているかどうか、外観から審査が始まるのが一般的です。プロは、お茶の外観を見れば、どんなふうにお茶が作られているか分かるんです。こういった品評会は、お茶を作る技術を高めるためあるので、外観は大事な審査項目となります。しかし、私たち消費者はお茶を「見て」ではなく「飲んで」決めます。本当に「飲んで」美味しいお茶を皆さんに紹介したいという思いから、日本茶AWARDが生まれました。そのため、日本茶AWARDでは外観審査を無くしました。「お茶は見るものではなくて飲むもの」という理念のもと、開催しています。

―― お茶の世界の中で「日本茶AWARD」は画期的な審査方法なんですね。

 審査方法には、他にも特徴があります。その一つが、お茶のいれ方です。通常の品評会では、審査用の茶碗に茶葉を3~4g入れて、そこに熱湯を注ぎます。こうすることで、そのお茶の全てが分かるからです。でも、実際に私たちがお茶を飲む時は急須を使いますよね? ということで、日本茶AWARDでは急須でいれたお茶を飲んで審査しています。また、審査に使う茶葉の量は自由です。お湯の量・温度はこちらで指定し、その条件で一番美味しいと思う茶葉の量を送るように、出品者にお願いしています。出品者側は、消費者がどんなふうに自分のお茶を飲んでいるのか気になるものです。例えば「この茶葉は急須がいっぱいになるぐらい入れた方が美味しい!」というのであれば、そういういれ方を皆さんにして欲しいじゃないですか。消費者目線で審査し、本当に美味しいお茶を飲んで欲しいので、審査方法にもこだわっています。

一次審査の様子

一次審査の様子

―― 私たちが日常生活でお茶を飲む時と同じような状況で審査することで、本当に飲んで美味しいお茶を決めることが出来るんですね。他にも日本茶AWARDの特徴はありますか?

 審査課程に一般消費者の審査がある点です。審査は、一次審査から三次審査まであります。一次審査は、ソムリエや紅茶の専門家、料理人、酒蔵の杜氏、はたまたイラストレーターなど、様々な業界の方々に審査してもらいます。二次審査は、お茶の専門家が行います。ここでは、例えば添加物が入ったお茶や、人工的な手を加えたお茶など、募集規定と合わないものを除きます。やっぱり専門家でないと分からない部分もあるので。

―― 一次審査で色々な業界の人の視点が入るのは面白いですね。

 そうですね、新しい視点で審査しています。こうして、二次審査で選ばれた20点ほどのお茶が「プラチナ賞」を受賞し、三次審査に進みます。そして、三次審査は一般の消費者です。2021年はコロナ禍なので違う方法でしたが、通常は全国8箇所、さらにパリやベルリンなど海外でも審査を開催したことがあります。

三次審査の様子

三次審査の様子

―― 私たちも審査員として参加できて、お茶を飲み比べるのは楽しそうです!

 事前に予約をしていただくと、どなたでも審査員として参加できます。まずは、二次審査を通過したお茶を1つずつ飲んで、4段階で評価していただきます。最後に、全部飲み終わった中で一番好きなお茶「My best tea」を選んで審査終了です。審査基準は、飲んで美味しいかどうか、本当にこれだけです。ちなみに、2021年は、三次審査で721票もあつまり、大賞を取ったお茶は92票、2位が90票と接戦でした。

多種多様な日本茶と出会い、お茶の幅広い魅力を発見

―― 煎茶、ほうじ茶などお茶の種類はたくさんありますが、種類ごとに審査するのですか?

 煎茶部門、ほうじ茶部門……などの部門はあります。ただ、最後は全部ひっくるめて、一つのお茶に投票していただきます。普段お茶を買う時、スーパーなどで、色んな種類のお茶が並んでいますよね。その中から美味しそうなお茶を一つ選ぶのと同じで、煎茶でも玉露でも同じ土俵です。色々な部門がありますが、決して高級なお茶が上位に選ばれるわけではないのも日本茶AWARDの面白い点です。以前、ほうじ茶ブームだった時は、ほうじ茶が2位をとったことがあります。その時のトレンドや、消費者のニーズが結果に反映されて面白いですね。

日本茶AWARD表彰式の様子

―― どんなお茶が受賞したのか、飲み比べてみたくなります。お茶を出品する方も、消費者から評価されると嬉しいでしょうね。

 従来のお茶の品評会は減点方式ですが、日本茶AWARDでは、それぞれのお茶の良いところを発表したいと思い、加点方式にしています。また、審査のときは、飲んだお茶についてコメントを書いてもらいます。頂いたコメントは全てまとめて、後で出品者にフィードバックするんです。出品者にとって、自分のお茶はどういう評価をされているのか、消費者の生の声が分かります。

―― 出品者のメリットもたくさんあるんですね。

 そうですね。他にも、消費者が現在どういうお茶を好んでいるかが分かって参考になった、という声もよく頂きます。あとは、日本茶AWARDで賞を取るために、普通の品評会とは別のお茶の作り方をしてきたりする方もいます。出品者にとっても多くの発見があり、今後のお茶づくりに活かすことで、よりお茶の幅が広がって欲しいです。

―― これからも日本茶AWARDをきっかけに、お茶の幅広い魅力が伝わるといいですね。

 年々、お茶の出品数は増えていて、2021年は初めて500個を超えました。その中から選ばれたお茶20点は日本茶AWARDのHPに掲載しており、各サイトで購入できるので、ぜひ受賞茶を飲んでみてください。また、お茶の審査員としても参加して欲しいですね。

 日本茶AWARDは、毎年変化しています。2021年からは、通常の品評会では無い、二番茶部門やティーバッグ部門なども新しく作りました。実現するかは分かりませんが、次はペットボトル部門を作ろうという話もあったりします。皆さんには、日本茶AWARDを通して、多種多様な日本茶があることを知って頂きたいです。

<プロジェクト概要>
■名称:日本茶AWARD
■公式HP:https://nihoncha-award.jp/
■日本茶AWARD2021審査結果:https://nihoncha-award.jp/winner

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