お茶の種類
日本茶・烏龍茶・紅茶、元はみんな同じ茶葉!
チャノキ(茶樹)は、学名を「カメリアシネンシス」というツバキ科の常緑樹。原産地は中国雲南といわれ、じつは、日本茶も烏龍茶も紅茶も、みんな同じチャノキから作られています。お茶の発酵とは酸化のこと!
お茶の葉に含まれる酸化酵素の働きで、摘み取った時点から酸化発酵が始まります。この働きを完全に利用して製造するのが紅茶、少しだけ利用するのが烏龍茶、利用せずに製造するのが日本茶です。りんごの皮をむいておくと褐色になりますが、まさにこれが酸化酵素の働き。製造の過程で紅茶や烏龍茶が褐色に変化するのに対し、発酵させずにつくられる日本茶は、お茶の葉本来の緑色が生きています。
日本茶はどうやって作られるの?
日本茶は、大きく分けて、3つの工程を経て作られます。
まず初めにお茶の葉を蒸気で蒸します。蒸すことで、お茶の葉に含まれる酸化酵素の働きを止め、お茶の葉の色を緑色に保ちます。蒸し時間の長さによって、味・香り・色が変わると言われ、日本茶の品質に大きく影響する大事な工程です。
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一言で「揉む」と言っても、「粗揉(そじゅう)」「揉捻(じゅうねん)」「中揉(ちゅうじゅう)」などなど、日本茶にはたくさんの揉む工程があります。力強く揉んだり、葉の形を整えながら揉んだりと、様々な揉む工程の中でお茶の葉を乾燥させます。
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最後に揉みあげたお茶の葉を十分に乾燥させます。この状態のお茶を「荒茶」と言います。普段私たちが目にするお店に並ぶお茶は、荒茶をさらに加工したものです。
煎茶
日本でもっともポピュラーなお茶。日光を浴びて育った新葉を、すぐに蒸して揉んで乾燥することで、程よい渋味とさわやかな香りのすっきりした味わいに。
深蒸し煎茶
煎茶よりも2~3倍長い時間をかけて蒸されるため、形状は砕けて細かい茶葉に。苦味や渋味が抑えられた、まろやかで濃厚な味が特徴。
玉露
新芽が伸びだした頃から20日ほどよしず棚などで茶園を覆い、直射日光が当たらないようにして育てられたお茶です。渋味が少なく、コクや旨味が豊富。
かぶせ茶
玉露と同じ栽培方法ですが、玉露より短期間、摘み取り前の1週間前後だけ茶園を覆って育てた葉でつくられるのが「かぶせ茶」です。
碾茶(てんちゃ)
抹茶の原材料となる茶葉。玉露と同様に覆いをして栽培した葉を、抹茶にするため、蒸したあとは揉まずに乾燥。繊維質の茎や葉の葉脈も取り除かれます。
抹茶
碾茶を茶臼で挽いて粉末状にしたもの。茶せんで撹拌して飲むほか、最近はお菓子やスイーツなどへの使用が定番化し、海外でも大人気。
蒸し製玉緑茶
別名「ぐり茶」。煎茶の製造のうち、葉の形を整える「精揉工程」がないため、勾玉のようにぐりっと曲がった形状をしています。さっぱりとした味が特徴。
番茶
新芽が伸びて硬くなった葉や茎などを原料とするお茶。摘みたての一番茶は新茶(4~5月)、それ以降の二番茶(6月)、三番茶(7月)、秋冬番茶(9月以降)が番茶に分類されます。
焙じ茶
その名の通り、番茶や茎茶などを強火で炒って(焙じて)香ばしさを引き出したお茶。カフェインが少ないので苦味や渋味がほとんどなく、あっさりした味わい。
玄米茶
番茶や煎茶に、炒ったお米をほぼ同量の割合で混ぜたお茶。炒ったお米の香ばしさと、番茶や煎茶のすっきりした味わいが楽しめます。
釜炒り製玉緑茶
蒸す代わりに鉄製の釜で炒って仕上げたお茶。丸い形と炒った香りが特徴。主に九州地方(佐賀県、熊本県、宮崎県の一部など)で生産されています。
「やぶきた」は、日本茶の品種研究の先駆けとなった静岡県出身の杉山彦三郎(1857~1941)が半世紀にわたる努力の末、1908年(明治41年)に発見した品種です。
杉山彦三郎は現在の静岡県立美術館芝生広場付近の竹藪を開墾して茶園を作り、その中から2本の優良系統を選抜、藪の北側と南側に植えました。その結果、藪の北側に植えたものがとてもよく育ったことから、そのお茶は「やぶきた」と命名され、今では日本で生産されているお茶の約8割を占めています。
「やぶきた」の原樹は現存し、県天然記念物に指定されています。日本にある「やぶきた」は、すべてこの木から分かれたものなのです。