Japan Tea Action
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2022-02-16

「日本茶の個性を若い世代に伝えたい!」ミスSFCグランプリの現役大学生・山田璃々子さんに聞く、お茶の魅力

 突然ですが、皆さんは普段お茶を飲みますか? そして、どんなお茶を飲んでいますか? おそらく、お手軽なペットボトルのお茶をよく飲む方が多いかと思います。昔と比べて、若い世代を中心に「急須を使って茶葉からいれるお茶」を飲む機会が減っていると言われますが、農水省の調査によると「コロナ禍で、茶葉からいれたお茶を飲む回数が増えた」と答えた若者が26%いた(※)とのこと。おうち時間が増え、丁寧な暮らし志向や健康意識が高まったりとコロナ禍による生活の変化によって、若い世代のお茶のニーズが高まっているのかもしれません。

※出典:「令和2年度 緑茶の飲用に関する意識・意向調査結果」(農林水産省)

 そこで今回は、お茶の魅力に惹かれ、お茶に関する様々な活動をしている現役大学生の山田璃々子さんにお話を伺いました。「自分と同世代である若い人に、お茶の魅力を伝えたい」という思いからミスSFCコンテスト2021に参加し、なんとグランプリを受賞した山田さんに、お茶に夢中になったきっかけや、山田さんが思う日本茶の魅力について語っていただきます。

プロフィール:山田 璃々子(やまだ りりこ)/慶應義塾大学環境情報学部3年・ミスSFCコンテスト2021グランプリ
大学1年生の頃からキャンパスでキッチンカーを用いたカフェを立ち上げ・運営。商品の1つとして扱っていたお茶に興味を持ち、茶畑を訪問。お茶の個性をつくりだす風景や農家さんの思いに感動し、全国の茶畑を巡遊している。並行して、お茶を次世代に繋ぐため、若者に向けてお茶の個性や魅力を発信中。

ほっとする時間を求めるうちに、お茶にたどり着く

―― 山田さんがお茶にハマったきっかけは何ですか?

 高校生の時、留学したオーストラリアで「ティーブレイク」という休み時間を体験したことがお茶を好きになったきっかけです。お茶を飲んでほっとする時間がとても素敵で、そこで初めて、お茶って一休みするもの、ほっとするものだと体感できたんです。その後大学生になり、あの時のようなお茶でほっとする体験を大学キャンパスにつくりたいと思い、キッチンカーでお茶の提供を始めました。

―― ティーブレイクで体感したお茶でほっとする時間が、原点なんですね。

 そうですね。そのうち、お茶を買ってくれた学生や先生から「このお茶って何茶?」などと聞かれることが増えました。でも、その時私は全然お茶のことを知らなくて……。どちらかというと「ほっとする時間が欲しい」という思いが先行していて、何も知らずにお茶の世界に飛び込んじゃったんです(笑)。お客さんの質問に上手く答えられなかったので、お茶のことをちゃんと知りたいと思うようになりました。それからお茶の勉強を本などでしていたんですけど、文字だけじゃイマイチ理解できなくて。悶々としていた時、お茶農家さんが「じゃあ茶畑に来てごらん」って言ってくれたんです。

―― なるほど。「百聞は一見にしかず」ですね。

 実際に茶畑を訪れると、目の前に広がる山の様子や、川の様子、一杯のお茶にかける農家さんの想い、そういったものが全部反映されているのがこのお茶なのかと、心から感動しました。また、茶畑に行くことで、文字をなぞるだけでは分からなかったことも、感覚が伴うことでやっと理解できました。たとえば、目の前に広がる山がお茶を太陽から守り、茶葉が柔らかく育つこととか。大地と繋がった感覚がとても感動的で、そこからお茶自体にハマっていき、全国の茶畑を巡るようになったんです。

――「ほっとする空間」の探求から、お茶そのものに行き着いたということでしょうか。

 はい。一休みする飲み物って他にも色々ありますよね。なぜその中でお茶にハマったのか改めて考えると、やっぱり、茶畑が気軽に行ける距離にあるのが大きいなと。私が今お世話になっている埼玉の茶園も、家から1時間ぐらいなんです。お茶の産地は日本中にあるので、実は多くの人にとってお茶は身近な存在のはずですが、私と同世代の若い人は、全国に茶産地があるって知らないことも多いんです。お茶=静岡だと思い、自分のふるさとがお茶の産地だと知らず、驚いている友人もいました。

―― 確かに、お茶は身近なものだからこそ、意外と知っているようで知らないことばかりです。

 私もまだまだ知らないことばかりで、茶畑に行くとずっと質問しています(笑)。知れば知るほど、お茶の魅力が分かって面白いですね。そのうちだんだんと、自分が知るだけじゃなくて、知ったお茶の魅力を同世代、つまり、これからの時代をつくる人たちに伝えていきたいと思い、色々なお茶の発信活動をするようになりました。

 実は、ミスSFCコンテストに参加したのも、お茶の発信がしたかったからなんです。ミスコンは、何も肩書きがない学生でも、自分の思いを発信できる貴重な機会なので。お茶に興味がない人に、どうしたら魅力が伝わるか、試行錯誤しながらの活動はとても良い経験でした。応援してくださった人の中には、私がおすすめしたお茶を買ってくれた人もいて「毎日お茶を飲むのが習慣になった」と言われ、嬉しかったのを覚えています。

お茶の魅力「日本茶の個性」と出会う場をつくりたい

―― 若い世代に、特に伝えたいお茶の魅力は何ですか?

 「日本茶の個性」に出会うことが、私が思う魅力ポイントです。これまで色々な茶畑を巡ることで、その地域のお茶の個性、さらには茶園ごとの個性あふれる色んな茶葉と出会いました。そして「このお茶は値段が高いから美味しい」というよりは、どのお茶も、色も香りも味も違って、全部素晴らしいと思うようになったんです。もちろん、銘柄や価格もお茶の要素の一つではありますが。たとえば、ティーペアリングやお茶の飲み比べ、毎日の気分に合わせてお茶を楽しむなど「日本茶の個性」と楽しく出会える動線をつくって、魅力を伝えていきたいです。

山田さんが企画・開催した、「日本茶の個性」に出会えるイベント「OCHA garden in 奥富園」の様子

―― 最後に、今はまだお茶に馴染みがない方への、メッセージをお願いします。

 私はいつも「お茶って何がいいの?」と聞かれたら「生活の一部にお茶があると、ご機嫌でいられるから」と答えています。というのも、お茶は元を辿ると薬なので、心身ともに私たちを元気にする力があると思うんです。そしてそれは、お茶の成分だけではなくて、お茶を飲んでほっとする時間自体にも元気にする力があると感じています。「ちょっと疲れたな」と感じることは誰しもあると思いますが、そんな時に、お茶という選択肢を持ってもらえると嬉しいです。

■山田さん Instagram:https://www.instagram.com/ririko_yamada/
■OCHA garden Instagram:https://www.instagram.com/ochagarden/

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