Japan Tea Action
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2023-11-24

暮らすように泊まる。八女茶を五感で堪能する旅(福岡 八女・前編)

 こんにちは、橘リンです。福岡県在住で、主にモデル、インフルエンサーなど幅広く活動をしています。今回ご縁があり福岡県八女市での「お茶と旅」のレポートをさせていただく事になりました。

 私は福岡に住んでいるため、八女茶を飲む機会が多くありますが、皆さんはいかがでしょうか。普段飲んでいても、お茶について、八女茶について詳しく知る機会がこれまでなかったので、今回のレポートを通して、私自身も、より深く八女茶の魅力を知れたらと思います。

プロフィール:橘リン(たちばな りん)
モデル・インフルエンサー
福岡県在住。モデル、インフルエンサーとして幅広く活動。最近まで講談社ViVi girlとして活動し、現在では主にオンラインのアパレルモデルやCM出演など。『阪急交通社 旅コーデアンバサダー』や『H.I.S.タビジョレポーター』として様々な国を訪れる。

八女茶を感じる、街に馴染んだホテル

 今回訪れたのは、八女茶を五感で体感できるホテル「NIPPONIA HOTEL 八女福島 商家町」。“JAPANESE TEA HOTEL”をコンセプトとしており、八女茶を味わうことはもちろん、このホテルを中心に八女のまちを巡りながら、知的好奇心をくすぐる八女茶の体験が堪能できます。一味違う個性的なホテルに胸を躍らせながら、出発です。


 最寄りのバス停を降りて、ホテルに向かうまでに広がるのは、昔ながらの伝統的な街並み。そんな街の中に馴染むように存在するのがNIPPONIA HOTELです。ホテルは、かつて酒造や茶舗だった建物をリノベーションしたものだそう。歴史的な建造を活かした、趣深く暖かみのある雰囲気に、早くもリラックスした気持ちになります。

 はやる気持ちを抑えて早速チェックイン。ウェルカムティーとして八女茶を1杯いただきながら、スタッフさんから、この街の歴史や、八女茶の物語を教えていただきました。

 八女茶といえば、高級な煎茶として知られる「玉露」が代名詞です。玉露が高級品とされる理由の1つは、栽培にとても手間がかかるため。大変な時間と労力、そして技術が注がれて、玉露が出来上がります。そんな八女茶の玉露は、お茶の品評会の玉露部門で、23年連続1位を取っているそうです。質の高いお茶づくりがこの地で続いているのは、八女茶に携わる皆さんの日々の努力があってのこと。

 ちなみに、今年は八女茶発祥600年という記念すべき年でもあるそうです。このタイミングで訪れることが出来て嬉しい限りです。


 チェックイン中、いい香りがするなと思っていたら、室内に茶香炉が置いてありました。もちろん香炉に使われているのは八女茶で、茶香炉用の茶葉とのこと。お茶の良い香りにも癒されました。

 次は、お待ちかねのお部屋にご案内いただきます。今回は、2棟あるうちの「KITAYA BETTEI」のお部屋に宿泊です。

 最初に目に入るのは、お部屋の目の前に広がる昔ながらの庭園。部屋全体に当時の造りが残っており、とても落ち着く空間です。

 八女の伝統工芸品である八女すだれなど、お部屋の至る所に八女らしさが散りばめられています。

 お部屋には、ウェルカムスイーツの八女茶バームクーヘンと、茶道具一式が。 自由に急須で八女茶が楽しめるようになっています。

 早速自分で淹れてみました。お茶の抽出時間は庭を眺めながらのんびり待ちます。自分で丁寧に淹れた八女茶は、なぜだか格別に美味しく感じますね。

八女茶の全てを味わいながら、パノラマの茶畑を望む

 お部屋で一息ついた後は、福岡県でも有数の景勝地「八女中央大茶園」へ。ホテルから車で15分ほど移動すると、あたり一面に雄大な茶畑の景色が広がります。夕日が差し込みとても幻想的な空間でした。

 ここでは、八女中央大茶園を一望できるテラスで、八女茶をじっくり味わう体験を販売に向けて開発中とのこと。今回は少し先取りで体験させてもらいます。

 お茶を淹れてくださるのは、昨年100周年を迎えた牛島製茶4代目の、牛島さんです。代々この地で八女茶をつくってきた牛島製茶の玉露をいただきます。

 今回体験するのは、少し珍しい淹れ方で、八女茶のさまざまな味わい全てを堪能するもの。使うのは写真の茶葉のみです。1つの茶葉から、お茶を4杯に分けて淹れて味の変化を楽しみます。

 「お湯の温度の変化をつけて淹れることで、4段階に分けて味の成分を抜いていくイメージです。」と、牛島さん。同じ茶葉なのに味がどこまで変わるのか、想像がつかず楽しみです。

 最初の1杯目は、なんと茶葉にさっと水通ししただけの淹れ方。急須の端に茶葉を寄せて、上から水を注ぎますが、茶葉にじっくり浸らせることなくそのまま通過させます。初めて見る淹れ方に衝撃が走りました。

 たった1秒茶葉を通しただけなのに、ほんのり色づき、辺りにお茶の良い香りが漂います。この淹れ方は、食事をする時に最初に飲む水のようなイメージとのこと。牛島さんは“緑水”と呼んでいるそうです。

 飲んでみて驚きなのが、ちゃんと爽やかなお茶の味がすること。お口の中のウォーミングアップに最適な1杯目でした。ぜひ皆さんにも味わって欲しい!

 さて、先ほど水通しした茶葉で今度は2杯目です。

 「茶葉は最初ねじれているのが、1煎目、2煎目…と少しずつほどけてきます。先ほどの1杯目は、水でちょっとねじれをほどいてあげた状態。今から茶葉が広がるにあたって、旨味と香りが出てきます。」とのこと。急須の中をじっと見ると、茶葉がじわじわと開いていく様子がわかります。


 2杯目は少し温度を上げて、じっくり抽出していきます。1杯目とは全く違い、今度はガツンと旨味が凝縮されたお茶です。一口ずつ大事に飲み進めて、とても濃い味わいを堪能します。

 そうこうしている内に3杯目が出来上がりました。先ほどよりも温度を上げて、茶葉の苦味成分を抽出した淹れ方だそう。見た目は2杯目とそこまで変わらない気がしますが味は如何に…

 確かに、2杯目と全く違う味わいです。ほどよい苦味で、お口の中がさらっとしていきます。ここまでずっと同じ茶葉を使って淹れていますが、お湯の温度や淹れ方によって、こんなにも味わいが変わってくるのかと驚きです。

 最後の4杯目は、80度以上の熱いお湯で、渋味成分を抽出。1杯目から4杯目を通して、お口の中をリセットしていくコースです。早速飲もうと思いきや、4杯目を淹れ終わると、急須から茶葉を取り出す牛島さん。

 なんと最後は4杯目と一緒に茶葉を食べます。文字通り「余すことなく」八女茶を味わう体験です。もう4杯分も味を抜いてきた茶葉なので、果たして味が残っているのか? ビクビクしながら、少しお塩をかけていただきます。

 一口食べて、とても美味しいのだから驚きです。少し海苔に近い感じもします。ご飯にかけて食べたい! “食べられないこともない”ではなく、すすんで食べたい衝撃の美味しさです。私はペロリと全部食べちゃいました。4杯目のお茶が、またよく合います。
 
 「良いお茶の葉は、葉の弾力が強く、柔らかくて葉脈が少ないので口当たりがいいんです。質の高いお茶の葉だからこそ、美味しく食べられます。」と、牛島さんが教えてくれました。

 このテラスから眺める景色は圧巻です。茶畑と、その向こうに八女の街、さらにその奥に有明海が広がります。お茶づくりの現場と、それを支える八女の人々の生活に思いを馳せながら飲むお茶は、感慨深いものがあります。

 一面に広がる八女の茶畑を眺めながら、八女茶の全てを味わう贅沢な体験でした。

 後編では「NIPPONIA HOTEL 八女福島 商家町」さんに戻ってからのお茶旅をご紹介します。

<体験概要>
■NIPPONIA HOTEL 八女福島 商家町
https://www.yame-fukushimastay.com/
■牛島製茶
https://www.yame.co.jp/

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