お茶所 静岡の茶畑をE-bikeで巡る旅(静岡・前編)
こんにちは、伊澤恵美子です。静岡県静岡市出身で、俳優として活動しています。実は私は茶農家の孫でもありますが、小さい頃に茶農業を辞めてしまったため、長らくお茶との繋がりを感じていませんでした。しかし、最近になってお茶関連の仕事をする機会があり、それをきっかけに私自身も日本茶が大好きになりました。
静岡でのティーツーリズムがあるということも恥ずかしながら存じ上げなかったのですが、我が故郷静岡には、こんなティーツーリズムがあったのか! と感激しつつ、日本茶を取り巻く様々な状況も伺いながらのお茶の旅をレポートします。
俳優・プロデューサー
静岡県静岡市出身(元茶農家の孫)。主な出演作に、映画『子宮に沈める』、ノーミーツ『門外不出モラトリアム』、Tokyofm AuDee「山田玲司とバグラビッツ」レギュラー。1000種類の日本茶を1000日間飲み続ける「1000茶」をきっかけにRiCE.pressの連載「お茶に漫画が合うのだが‼」や雑誌「Hanako」お茶特集への寄稿、オリジナルのお茶のプロデュース、販売などのお茶活動も。推し茶は香駿。
優しい味わい、“ニガクナイ”和紅茶
今回取材したお茶の旅は、DMOするが企画観光局が企画し、地元旅行会社FIEJAにて、今春から販売開始された新しいお茶旅です。
最初に訪れたのは、静岡市清水区。清水というとサッカー、港町というイメージが強いのですが、富士山を望める標高300~500メートルの山間地もあり、近年特に魅力的な茶農家さんたちが注目を集めています。
興津駅から車で30分ほど山に向かうと、和田島という地域にたどり着きます。山間地ではありますが、高速道路等もありアクセスもしやすく、比較的開けた土地です。そんな和田島の山々や茶畑に囲まれた集落に佇む素敵なカフェが、GREEN∞CAFÉさん(グリーンエイトカフェ)です。こちらは茶農家でもある北條さんが立ち上げた、茶農家直営のお店です。
まずは、カフェ店内へ。茶工場の事務所を改装したという店内にはたくさんのお茶が並んでいます。
こちらのお茶のほとんどが、この地域の茶園で作られた茶葉からできている「和紅茶」なんです。「和紅茶」とは“日本産の茶葉でつくった紅茶”のことを言います。
お茶好きの方ならご存知の通り、日本茶(緑茶)も紅茶も同じ茶の木から作られています。加工方法によって変わり、茶葉を発酵させて作られるのが紅茶、発酵していないものが日本茶(緑茶)です。
紅茶といえば海外のイメージが強いかもしれませんが、和紅茶は、海外のものより苦味が少なく優しい味わいという特徴があります。そこで、グリーンエイトカフェさんでは「ニガクナイコウチャ」という名前でブランド化。数年前から静岡駅等にもお店を出されています。
店内には、スイートなものから深みのあるビターなものまで、様々な種類の和紅茶が。味のチャート図を見ながら、お気に入りの1杯を探すのも楽しそうです。
早速カフェでドリンクを注文。お店では、緑茶や和紅茶をストレートに楽しむこともできますし、フルーツティーやお茶パフェなどもあります。
今回は和紅茶のフルーツティーと、和紅茶のパフェのセットを注文しました。素敵な店内で楽しむこともできますが、テイクアウトセットを頼み、近くの茶畑テラスまで、保冷バックに入れて出発です!
茶畑に囲まれたテラスで、のんびり一服
茶畑テラスまでは自転車で5分ほど。E-bikeですいすい向かいます。
山間地ですが、E-bikeを使えば坂道も楽々。竹林や茶畑を見ながらサイクリングを楽しむことができ、最高の体験でした。
すぐに茶畑テラスに到着! 茶畑に囲まれたテラスで、美しい緑をぼーっと眺めながら、冷たい和紅茶フルーツティーと和紅茶パフェを堪能します。
パフェにはさっぱりとした和紅茶ソフトに、シャインマスカットの自然な甘さ、奥の方にチョコレートも入っていて、途中から味変も楽しめて最後まであっという間にいただけました。季節により使うフルーツは変わるとのこと。違う季節のパフェも気になります。
E-bikeでアクティブに動いた後に、茶畑の真ん中でのんびりと、お茶の贅沢な味わいを楽しむことができ大満足のツアーとなりました。
飲み比べで深まるお茶の世界
茶畑テラスを堪能した後は、グリーンエイトカフェからE-bikeですいすい移動。マルジョウむらかみ園さんにお伺いしました。こちらは、標高300~350メートルの山間地に広がり、雲海に浮かぶ富士山を望む絶景の茶園です。
明治時代から続く茶農家の園主である村上さんのお宅で、歴史あるお茶のお話を伺いながら、さまざまな品種のお茶を飲み比べることができます。
カフェではなく、歴史の残るお宅で、茶農家さんのお話を聞きながらお茶を楽しめる貴重な体験です。
歴史を感じる資料が乱雑に(笑)置いてありますが、100年以上前の台帳など、かなり貴重なもの。さながら博物館のようです。
お家にお招きいただいているというまったり感もあってか、普段ではなかなか聞けないような茶農家さんのリアルなお話を聞くことも。
ちなみに、お茶づくりで一番つらい作業はなんですか? と伺った所「夏の草むしり」が最もつらいというエピソードは印象的でした。お茶の収穫は大変でも、それがお茶になるという喜びや楽しみがある一方、夏の猛暑の中での草むしりは、絶望してしまう気持ち…わかります。
そんなディープなお話も伺いながら、今回は、今イチオシの様々な種類の和紅茶をいただきました。マルジョウむらかみ園さんは、緑茶と和紅茶を主に扱われており、和紅茶は「日本茶AWARD」というコンテストで審査員奨励賞を受賞した実績もあります。
今回いただいた和紅茶は、①さえあかり、②香駿(こうしゅん)、③べにふうきの一番茶、④蒼風、⑤べにふうきの二番茶、の5種類。これらは全てお茶の品種の名前です。お茶の品種の本も見せていただき、お茶の世界の奥深さを学ぶことができました。
ちなみに今回いただいたお茶には、私の推し茶No.1の香駿とNo.2の蒼風が入っています。こちらの和紅茶は、ほとんどが一番茶で作られているのですが、一般的には一番茶で紅茶を作るのは大変とのこと。村上さんはその挑戦に魅力を感じて作られているそうです。
一見、同じお茶に見えますが、飲んでみるとどれも味わいが違います。さえあかりはとても華やかな香りと味で、お客様にも人気だそう。香駿は、紅茶にすることで緑茶の時の華やかな香りが控えめでした。べにふうきの一番茶は、パンチがあってTHE 紅茶なお味。蒼風もバランスが良く飲みやすいお味。
そして最後にべにふうきの二番茶。こちらは渋みもありますが濃い蜜香もあり、ゴージャスな強い和紅茶でした。
これほどしっかりと飲み比べをする機会もなかなかありません。お茶の品種ごとにそれぞれの個性があり、皆さんもお好みの味を見つけられるはずです。その日の気分や、お菓子やご飯など何に合わせるか、アイス、ホット、水出しなど飲み方によっても違うので、ますますお茶の世界を楽しみ、深められると思います。(ちなみに東京都内にある「インド料理 マルジョウ」さんは弟さんのお店です。マルジョウむらかみ園さんの和紅茶も買えます。ビリヤニがとっても美味しいです♪)
1日目のお茶旅は、のんびり癒される本物のお茶体験でした。このお茶旅を企画したするが企画観光局には「交通の便もあり、普段は訪れる機会がない茶農家さんによる本物のお茶体験を、E-bikeで繋ぐことで、観光コンテンツとしてより多くの皆さんに体験してもらいたい」という想いがあるそうです。自転車なので環境にも優しいサステナブルなツーリズムですね。するが企画観光局では、静岡の地域産業であるお茶に着目して、他にもさまざまなお茶旅を企画されています。
今回の旅は、お茶好きの方はもちろん、初めてのお茶体験にもおすすめの旅です。後編でも、個性あふれる静岡のお茶旅をご紹介します。
■富士山を望む中山間地の茶畑をE-bikeで巡る
■販売会社:株式会社FIEJA
■販売サイト:https://fieja-japan.com/jp/fuji-ebike/
▼するが地域の旅情報はこちら(公益財団法人するが企画観光局)
https://www.visit-suruga.com/