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2022-06-08

川根茶【前編】標高600m、天空の茶園に根付くお茶摘みカルチャー| 新茶前線北上レポート

 こんにちは。新茶前線レポーターの山田璃々子です! 新茶前線北上4ヶ所目は、静岡県・川根茶のつちや農園さんを訪れました。川根茶の歴史は古く、江戸時代にはすでに品質の高いお茶の産地として知られていたようです。その美味しさの秘密が気になるところですが、まずは、この景色をご覧ください。

 つちや農園さんの茶畑があるのは、なんと標高600mの山の中!「天空の茶園」とも呼ばれ、急斜面の山肌に沿った、ダイナミックな茶畑が一面に広がります。今回、レポートで訪れた5つの茶園さんの中で、1番高い標高です。春先まで気温が低いこの地域は、温暖な地域よりも新茶の時期が後になります。新茶前線は南から北へだけでなく平野部から山間部へも移るのですね。

ベテラン摘み子さん大集合!

 前日まで雨でしたが、訪れた日は澄んだ空気とやわらかな太陽の光がさしこむ朗らかなお天気。この日は朝から大勢の摘み子さんが集まって、手摘みを行っていました。お茶摘みの時期になると、つちや農園さんには毎年こうして摘み子さんたちが集まります。

 「この茶畑はハサミ(機械)で刈り取りができるように畝(うね)を作ったのだけど、お客さまのご希望にあわせて、手摘みするようになったんです。」と、お話くださったのは、つちや農園の3代目・土屋裕子さん。手摘みは、たくさんの人手と時間がかかるため、機械摘みが主流となった今、貴重な光景です。

 さっそく私も摘み子さんにまじって、新茶を摘ませてもらいました。腰にカゴを巻きつけて準備OK! 和束でも手摘み体験をしたので気合い十分でしたが、皆さん手の動きがとっても早く、真似てみようと観察していたら思わず目が回ってしまいそうになりました。隣にいらっしゃった摘み子歴20年以上の方に、早く上手に摘む方法を伝授していただきます。摘む手とは反対の手で、しっかりとお茶の木を抑えるのがポイントとのこと。皆さんに優しく教えてもらい、慣れてきた頃には、わいわいお話しながら手際良く摘めるようになりました。

 摘み子さんの中には、子どもの頃から摘んできた、お茶摘み歴80年以上という大ベテランの方も! 摘み子さんたちが小中学生の頃、この地域では新茶の時期になると「お茶摘み休み」という、お茶を摘むための休暇があったそうです。なんとユニークなお休みでしょうか! お茶農家でなくても、みんなで自分の家や近所の茶摘みを手伝うのが恒例でした。お茶好きの私からすると、羨ましい限りのお茶摘みカルチャーです。昔からお茶が暮らしの一部である地域で、今もこうして多くの摘み子さんが集まって手摘みをしている姿に、川根茶の歴史を感じます。

急斜面の茶畑で、三人四脚のお茶摘み

 黙々と手摘みをしているとあっという間にお昼の時間。午後からは、別の茶畑での作業にお邪魔しました。先程の茶畑よりも急斜面で、移動するだけでもひと苦労。山肌に沿って広がるダイナミックな茶畑では、3人がかりで可搬型摘採機を使ってお茶摘みです。お茶の葉に沿うように刃の角度を操る人、重いエンジン側を持つ人、袋を持って溜まって行く茶葉を管理する人、三人四脚で摘採していきます。

 私も袋持ちをお手伝いさせていただきました。刈り取られた茶葉が袋の中にどんどん溜まり重くなっていきます。袋がお茶の木に擦れないように少し持ち上げながら、そして前の二人がスムーズに刈れるように溜まっていく茶葉の位置を気にしながら、茶畑の中をかき分けるように進みます。

 機械だから手摘みよりも楽! とは一概には言えません。 山の傾斜に合わせて、かまぼこ型の畝に合わせて、刃の角度を微調整しながら必要な葉だけを刈り取ります。間違って深く刈ってしまわないように注意しながら、急斜面の中、重たい機械を操り続けるのは大変です。ひとつの畝を刈りとるごとに「今のよかったね!」「もう少し角度を下げたほうがいいかな?」など、声をかけ合いながら作業を進めます。息ぴったりのチームプレーに感動です。

 後編では、いよいよ摘んだお茶を工場で加工していきます。そこでもまた驚きがいっぱい! そして、つちや農園の、この地の自然環境にあった「お茶の木ファースト」のお茶づくりについてもご紹介いたします。どうぞお楽しみに。

■川根茶【後編】経験や感覚を活かした、お茶の木ファーストのお茶づくり| 新茶前線北上レポート

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