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2021-10-07

お茶のホテルでほっと一息。泊まって楽しむ新しいお茶体験!

 おうち時間のリラックスタイムにお茶を淹れてほっと一息。そんな時間を過ごす方が、コロナ禍で多くなったのではないでしょうか。近年、お茶はおうちで飲むだけに留まらず、様々な広がりを見せています。そこで、「お茶」をテーマにした新しい体験についての特集です。より五感でお茶を体験できる取組について取材し、その魅力をご紹介します。

 今回は、港区新橋にある「お茶」がテーマのホテル「ホテル1899東京」にお伺いしてきました。支配人の勝野友春さんに、ホテルの魅力について語っていただきました。

プロフィール:勝野友春(かつの・ともはる) /「ホテル1899東京」支配人
北海道出身、1998年龍名館入社。レストラン店長として7年勤務後、「旅館龍名館本店(現在の「ホテル龍名館お茶の水本店」)」副支配人に就任。2009年「ホテル龍名館東京」開業より、同ホテルの副支配人を務め、2014年に支配人に就任。2018年4月、「ホテル1899東京」開業準備室室長を務め、12月の開業時に支配人に就任。2018年6月、龍名館取締役に就任。

「お茶がテーマのホテル」って?お茶とのゆるやかな時間を体験。

 「ホテル1899東京」は、JR新橋駅から徒歩10分ほどの場所にあります。「お茶」がテーマという言葉の通り、ホテルのあちこちにお茶のエッセンスが散りばめられています。お茶とのゆるやかな時間を楽しめる、特徴的なサービスを沢山取材させていただきました。

ティーカウンターにてお出迎え。お茶のおもてなしで、ほっと一息。

 まずご案内いただいたのは、ホテル2階のフロント。ゆったりとした時間が流れるこの空間は、茶室をイメージして作られたそうです。

 チェックインカウンターの反対側にはティーカウンターがあり、ここでは「茶バリエ」と呼ばれるスタッフが、お茶を目の前で淹れてくださいます。

勝野さん:「茶バリエ」とは、お茶の知識はもちろん、お客様に対しておもてなしの心を持って対応するスタッフの総称です。「茶バリエ」という言葉は私達が作った造語で、茶葉のソムリエという意味合いから造りました。基本的にホテルのスタッフ全員が茶バリエです。お茶がテーマのホテルなので、スタッフも全員お茶好きですね。

 お茶は、抹茶と煎茶のどちらかを選び、チェックイン後すぐでも、お部屋でくつろいだ後でも、好きなタイミングで楽しめます。

勝野さん:お茶の飲み方は自由です。御作法などを考えると、ハードルが高く感じてしまう方もいると思います。気にせず自由に飲んで頂き、普段皆さんお家で飲むように、楽しんで頂きたいです。

 「茶バリエ」の方が、茶釜や急須を使って丁寧に淹れてくれる一杯に、心身ともに癒されます。

客室でもお茶でリラックス。ゆったり快適に過ごす工夫満載!

 お部屋は全部で4タイプ。全てご紹介したいのですが、今回は2つのお部屋をご紹介いたします。まずは、「スーペリアダブルB -ENGAWA-」です。

 特徴的なのが、客室の名前の通り、小上がりになっている「縁側」風のベッド。また、洗面台の位置が机の隣になっているのも、普通のホテルと大きく違う点です。

勝野さん:このお部屋は、洗面台でお茶を淹れて、隣の机でお茶を楽しんで頂くイメージです。そして、お茶屋さんの「縁側」に腰をかけてくつろぐ……。そんな使い方を想像しています。海外の方にも日本の方にも人気なお部屋です。

 次に4タイプの中で一番広い「コーナーデラックスツイン」。

 客室奥のベンチは「縁側」イメージだそうです。落ち着いた緑色を基調とした開放的な空間が広がっています。

勝野さん:どのお部屋も共通して、ゆっくりくつろいでお茶と過ごすというのがテーマです。なので、普通のホテルと違ってデスクが無いのが特徴です。室内の備品は、お茶のテーマに沿ったものを中心に、見えるように配置しています。

 室内には、急須・湯呑みなどの茶器と、お茶を淹れるのに適したピュアウォーター、4種類のティーバッグを用意。「やさしさ」「ぽかぽか」など名前からも癒されるお茶を、お部屋でもゆっくりいただけます。

 さらに、シャンプーなどのアメニティには緑茶成分が入っています。カテキン、コラーゲン、ビタミンCなど、美容に嬉しいお茶のチカラを体験できるのです。緑茶アメニティはホテルの公式オンラインショップから購入できます。

 お茶に関連することはもちろん、快適に過ごすためのお部屋の工夫は他にもあります。お部屋の温度や、照明のスイッチを全部操作できるタブレットを導入。照明の色味も調整でき、気分に合わせて自分好みの設定が可能です。

自由にお茶を楽しむことが、新しいお茶の楽しみ方。

 ティーカウンターでのお茶のおもてなし、お茶づくしのお部屋など、お茶へのこだわりが溢れている「ホテル1899東京」。「お茶」をテーマしたホテルへの想いを支配人の勝野さんにお伺いしました。

―― ホテルのテーマを「お茶」にした理由が気になります。

 私達「龍名館」は、1899年に創業の地「お茶の水」で旅館業を始めました。その後、レストランを展開することになり、お店テーマを探す中で「お茶」はいいな、と。「お茶の水」は名前の通り、お茶を飲むためのお水を徳川将軍家に献上していた場所です。そこで、「お茶の水」で「お茶」を使ったお料理を提供する「レストラン1899お茶の水」をオープンしました。これが、お茶との始まりです。

 その後、より多くの方にお茶を伝えていく上で、さらに色々なお茶の体験を用意しようと、このホテルのテーマになりました。お茶の様々な健康効果や、視覚的にお茶を楽しめるデザイン、お部屋でくつろげる香りなど、ちょっとした癒しの空間をご用意しています。

―― お茶の水でお茶を食すレストランも気になります。ホテルでは、例えばどんなお茶の体験ができますか?

 日本茶セミナー「1899ティーカレッジ」という、急須でお茶を飲むことを楽しむ会を定期的に開催しています。そこで私達がお伝えするのは、茶道や煎茶道のような技術的にレベルの高いものではありません。急須を使ってリーフ茶を飲む体験などのワークショップを通じて、自由なお茶の飲み方をご提案しています。

 また、ホテルの1階は「チャヤ1899東京」という日本茶カフェになっており、宿泊者だけでなく、どなたでもご利用出来ます。客室とは違い、この場所は、わいわい庭先で話す縁側をイメージした場所です。ドリンクメニューの中だと、個人的にはほうじ茶ソーダが好きですね。伊予柑などのコンフィチュールが入っていて美味しいです。

―― ありがとうございました。ホテルの色々な所にテーマである「お茶」が感じられて面白いですね。お茶の世界が広がりそうです。

 まだ、お茶の世界や文化は日本人も知らないことが多く、難しいイメージがある気がしますね。例えば、ワインは元々高級なものでしたが、次第にテーブルワインの様な安価なものも出てきました。そうした状態になって、「私はカリフォルニアのワインが好き」みたいな会話が出来ます。ワインのように、お茶も、「静岡のお茶が好き」「私は八女のお茶」などのお話が聞けるようになるといいなと思います。

 お茶の楽しみ方は自由です。ホテルを通じて、急須を使いつつ、ご家庭の生活の中にちょっとほっと一息つく時間をつくって頂ければいいな、と考えています。

<ホテル概要>
■名称:ホテル1899東京
■場所:東京都港区新橋6-4-1
■公式HP:https://1899.jp/hotels/tokyo/
■公式オンラインショップ:https://1899.shopselect.net/

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